日本唾液腺学会
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第58回日本唾液腺学会 総会並びに学術集会
 

会 長:立川 哲彦(昭和大学歯学部)
副会長:杉谷 博士(日本大学生物資源科学部)

平成25年12月14日(土曜日)、文京学院大学において第58回総会並びに学術集会が開催されました。
 会長の専門分野を生かした特色ある学術集会の運営を目的として、担当会長形式が導入されて2年目となる今回は、「障害を受けた唾液腺の再生」をテーマとして、立川会長と共同研究もされている東京理科大学・総合研究機構の辻 孝 教授を特別講演の講師にお迎えしました。さらに27題に及ぶ演題発表、企業による機器展示やサンプリングも行われ、会員を中心に114名が参加して、非常に充実した一日となりました。

 

特別講演では、「器官再生による口腔機能回復を目指して―歯と唾液腺、涙腺の再生―」と題して、次世代再生医療研究の第一人者である辻教授に、器官再生医療の実現に向けた研究戦略と課題について総合的なレビューをしていただきました。幹細胞の組織化によって立体的な器官原基を作り出す技術と、生体内における機能的連携のコントロールについて、歯、唾液腺、涙腺、毛髪を例に挙げながらの解説とあわせて、実際に開発されたモデルの使用協力要請もあり、唾液腺研究の今後に向けて示唆に富んだ内容でした。

 

また、公募の演題は、医学、歯学、薬学のさまざまな分野から、基礎的研究10題、臨床的研究および病理診断学的研究12題、症例検討5題の発表があり、学際的な討論が展開されました。

平成26年度の学会奨励賞は、以下のとおりです。

<基礎的研究>
「器官原基法による機能的な唾液腺の再生」

○山下健太郎1)・小川美帆2)・大島正充2)・関根由里恵1)・石田研太郎2)・立川哲彦3)・辻 孝2)
1)東京理科大学大学院基礎工学研究科生物工学専攻,2)同総合研究機構,3)昭和大学歯学研究科口腔病理学講座)

<臨床的研究および病理診断学的研究>
「アンドロゲン受容体陽性 局所進行/再発転移唾液腺癌に対するアンドロゲン遮断療法の効果と安全性の検討」

○伏見千宙 1)・鎌田信悦 1)・三浦弘規1)・増淵達夫1)・長村義之2) ・長尾俊孝3) ・多田雄一郎1)
1)国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センター,2)同病理診断センター,3)東京医科大学人体病理学講座)

「唾液腺導管癌における病理学的予後因子の検討- 多施設共同研究 - 」
○佐藤由紀子1)・多田雄一郎2)・川北大介3) ・長村義之4)・長尾俊孝5) ・唾液腺導管癌共同研究グループ*
1)がん研究会がん研究所病理部,2)国際福祉医療大学三田病院頭頸部腫瘍センター,3)名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科,4)国際福祉医療大学三田病院病理診断センター, 5)東京医科大学人体病理学講座)
(*花澤豊行・茶薗英明・加納里志・清水顕・高瀬総一郎・今西順久・大塚邦憲・佐藤雄一郎・富樫孝文・大上研二・酒井昭博)

 

今回の特色として、一般演題の中で特別講演の内容を補完する研究発表がなされたこと、学生の参加、発表が増えたこと、昨年度に引き続き、複数の機関による共同研究が行われていることなどが挙げられます。広く唾液腺に関する諸研究の交流を図るだけではなく、若手研究者の育成という点においても、成果をあげることができた学術集会になったのではないかと思います。

第59回学術集会は、平成26年12月に、同じく文京学院大学において開催を予定しており、日本大学の杉谷 博士 教授(生物資源科学部 獣医学科 獣医生化学研究室)が会長を務めます。より充実したが学術集会になるよう尽力いたしますので、是非ご参加ください。