日本唾液腺学会
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第57回日本唾液腺学会 学術大会開催
 

会 長:吉原 俊雄(東京女子医科大学耳鼻咽喉科)
副会長:杉谷 博士(日本大学生物資源科学部)

平成24年12月1日(土曜日)、文京学院大学において、日本唾液腺学会の第57回総会ならびに学術大会が開催され、会員を中心に120名余りが参加して、医学、歯学、薬学のさまざまな専門分野からの研究発表と意見交換が行なわれ、とても盛況な学術大会となりました。

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今回は、従来の特別講演、演題発表に加えて、新しい試みとしてパネルディスカッションとセミナーも企画しました。さらに企業による唾液分泌量の計測機器の展示、経口補水液、口腔保湿剤などのサンプリングもあり、「唾液腺に関するあらゆる領域を受け入れる」という本学会の特色を生かした、充実した一日となりました。

 

特別講演は、筑波大学医学医療系内科(膠原病・リウマチ・アレルギー)の住田孝之教授をお招きしました。日本シェーグレン症候群学会の理事長でもある住田先生は、「シューグレン症候群vsIgG4関連疾患」と題して、臨床的には似ていながら異なる病態である両疾患について、概念、疫学、臨床像、診断、病因、病態、治療といった観点から詳細に比較し、さらに最新の「IgG4関連疾患包括診断基準」の紹介とあわせて、今後の展望についてお話しくださいました。

また、パネルディスカッションは、「唾液はストレスマーカーの最適材料となりえるか」というテーマで4名のパネラーをお呼びしました。文京学院大学の下村弘治教授、栗原トヨ子教授(作業療法士)、東京医科歯科大学の杉本久美子教授からは、さまざまなストレスによる唾液成分の変動についてのリサーチ結果が報告され、日立製作所の牧 敦 氏からは光学的唾液分泌計測法という新しい方法論の提案がありました。続く全体討論は、会場から次々と質問が出されたほか、心療内科の現場で実際に行われている手法の紹介などもあり、大変有意義なものとなりました。無侵襲で簡易に採取できる唾液成分の応用については、今後も本学会の大きなテーマの1つとして議論していきたいと考えています。

 

さらにセミナーでは、「sialendoscope(唾液腺管内視鏡)による唾石治療」と題して、sialendoscopeを用いた低侵襲の唾石摘出術を国内でいち早く取り入れた東京女子医科大学の崎谷恵理先生と防衛医科大学校の松延 毅 准教授を講師にお迎えし、その具体的な方法やメリット、問題点について解説していただきました。新しい術式の紹介ということで、参加者の関心も高く、講演後には、後遺症、麻酔の方法、小児への応用などについての質問が相次ぎました。

公募の演題は、基礎的研究8題、臨床的研究および病理診断学的研究10題、症例検討6題について、研究発表と活発な議論が行われました。
 今年度の学会奨励賞は以下のとおりです。

<基礎的研究>
「カルバコール刺激によるラット耳下腺腺房細胞の体積減少と活性化エネルギー減少におけるAQP5の関与」
佐藤慶太郎 (獨協医科大学医学部生理学(生体制御)講座)他6名

<臨床的研究および病理学的研究>
「唾液腺導管癌の免疫組織化学・分子病理学的検討 ―多施設共同研究―」
増淵達夫 (国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センター)他6名

受賞おめでとうございます。今後のさらなるご活躍を祈念申し上げます。